女性の思い浮かべる相手がどんな人物かわからないから答えに困ってしまうのだが、ひとまず自分が知っている一番身近な自由人、田辺のような人物だったらと仮定して答えることにした。


「まあ、その……悪意があって遊んでいるのとはまた違うのかな、と思わなくもない……ような、気はします。だって相手は、小学生男子ですから」

「……小学生?」


きょとんとした女性の呟きに、田辺はハッとする。


「あっ、えっと違うんです!その……俺の知り合いの自由人が、精神年齢小学生男子みたいな奴なので、そいつを思い浮かべながら話していたらつい……」


ああ……と女性が納得している脇で、マスターも「なるほどねー」と笑いながら頷いている。


「まさにって感じだねー。小学生の頃って、どうしてか好きな子ほどイジメたくなっちゃうんだよねー。やり過ぎて泣かせて逆に嫌われるってのがお決まりのパターンみたいな」

「……それはそうかもしれませんけど、私達は今小学生ではなくとっくに成人済みの大人の話をしているのでは?」

「成人したからといって、精神年齢まで大人になれるとは限らないんだよー。特に男なんて、元々女性より精神年齢が低い生き物なんだから」


ねー?と同意を求められ、岡嶋は困ったように笑っておいた。


「それを踏まえてさ、もっとちゃんと向き合ってみたら?心を閉ざしたまんまだと、見えるものも見えないよー」

「……仮に心を開いたとして、それで傷つくのは私なのですが」