深いため息を零す岡嶋に、女性はややあってから


「お話を聞いて私が思うに、お客さんはその方を好いていると感じるのですが……」

「まあ、そうですね。向こうが赤ちゃんの頃から一緒に過ごしてましたから、嫌いだと思ったことは小さい頃に喧嘩した時――」

「あっ、いえいえそうではなく、兄妹や家族のような感覚とは違う、恋愛的な意味でお好きなのではと」


思わず「ん?」と首を傾げる岡嶋に、「え?」と女性も首を傾げる。そこになぜかマスターも「お?」と首を傾げて加わった。


「えっと……え、そういうことです……よね?恋愛的な意味で好きだから、その方が自分ではない別の男性と一緒にいるのを見て、モヤッとしているのでは?しかもその男性が、その方と年が近そうだから、自分よりも釣り合っているように見えて、思い悩まれているのかと……」


岡嶋は混乱のあまり「え、そうなんですか?」と問いかけてしまい、女性が慌てたようにマスターの方を見て「違うんですか?」と問いかける。
それに対するマスターの答えは、「そうなのかどうか、違うのかどうかは本人次第だねー」だった。