「でも、一つだけ当ててあげましょー。そのお悩み、ずばり女性関係ですね」


そこで思わずぴたっと動きを止めてしまう、自分のわかりやすさが嫌になる。これだから、田辺にも簡単に見破られておちょくられるのだ。


「女性のことなら同じ女性に聞くのが一番ですかねー。というわけで、選手交代」


そう言うや否や、隣に立っていた女性と立ち位置を入れ替えるように、マスターが奥へ、女性がぐいっと岡嶋の前に押し出される。


「ちょっとマスター!」

「あとは任せたー!」


困惑する女性に、マスターは大変いい笑顔で親指を立ててみせると、それっきりこちらから視線を外してしまった。
困惑顔の女性はしばらくそんなマスターに視線を送り続けていたが、やがて諦めたように岡嶋の方を向いて苦笑した。


「なんかあの……すみません、うちのマスターが」

「いえいえ、こちらこそなんかすみません」


苦笑しながらぺこぺこ頭を下げ合ったところで、女性が気持ちを切り替えるように表情を変えた。