「結構拘ってるんだよねー?今の時期だと、マッシュポテトに少し生クリーム入れたり、夏になったら刻んだピクルス入れてさっぱり食べられるようにしてみたりとか」

「まあ、その、拘りというか……こうしたらもっと美味しいかなって思ってやってみているだけなので」

「奥ゆかしいでしょー?この子」


反応に困って岡嶋が苦笑すると、「お客さんを困らせないでください」とすかさず女性の鋭い声が飛ぶ。


「あ、そのポテサラは、玉子もいい感じに崩して、全部混ぜて食べるのが僕のオススメです。あとこちらは、ワインのおかわりでーす」

「あ、どうも」


受け取ったおかわりのワインを一口飲んで、それから言われた通りに玉子を崩してポテトサラダと混ぜてから口へ運ぶ。
滑らかな舌触りのマッシュポテトは、普段家で作るものよりマヨネーズの酸味が少なく逆にミルキーさがあって、ほくっとした角切りのじゃが芋とシャキッとしたキュウリの食感がとてもいいアクセントになっている。
半熟の黄身を混ぜたことによってよりマイルドな味になっているが、そこに強めに振られた黒胡椒がピリッと効いているのもまたいい。