島田の言葉を遮るように、岡嶋はすっくとソファーから立ち上がる。そのままどこぞへ向かおうとした岡嶋へ


「支度もいいけど、結局どっちのスーパーに行くか決まったの?」


島田は疑問を投げかける。
ぴたりと足を止めた岡嶋はしばしそのまま固まって、それからゆっくりと振り返った。


「もうあれだ、決められないから、じゃんけんで決めよう」

「じゃんけん?」

「そう例えば、俺が勝ったら近い方、島田が勝ったら遠い方、みたいな」

「ああ、そういうのね」


結局、あれだけ迷っても決められなかったということか。まあ、岡嶋がそれでいいと言うのであれば、島田としては異論はない。むしろゲームみたいでちょっと楽しい。


「じゃあ島田は、どっちの店にする?先に決めていいぞ」

「あたしは遠い方」


岡嶋と少しでも長く二人でいたい島田としては、悩む必要もない。


「なら俺は近い方だな。よし、じゃあやるか」

「ん」


島田は岡嶋の方へ、グーに握った拳を突き出す。準備オッケイの合図だ。
最初はグー、と岡嶋も握った拳を突き出して、じゃんけんが始まる。