「でもね、食後のデザートにアイスを食べるんだったら、もう一個の店の方なんだよね。アイスの特売日なんだって」

「そうか、アイス…………いや、アイスは今いいんだよ」


顔を上げた岡嶋にもう一度チラシを見せて欲しいと頼まれ、島田は快くスマートフォンの画面を見せながら距離を詰める。
スーパー選びに夢中になっているおかげか、島田がぴったりと隣に張り付いても、岡嶋は何も言ってこない。嬉しい反面、ちょっとはドキドキしたり動揺したりして欲しいなんて思ってしまう。

難しい顔でスマートフォンの画面を見つめる岡嶋の顔を、島田は横から盗み見る。
真剣にチラシを見ながら店を吟味する岡嶋、その表情には真剣さ以外何もないと思っていたのだが、よく見ると心なしか耳の縁と首のあたりが赤いような……。


「雅功くん」

「なんだ」

「暑いの?」

「…………いや、まあ、そうだな」


おかしな間があったし、答えもなんだかたどたどしい。
改めてじっくり見ると、やっぱり赤い気がする。


「雅功く――」

「さて、そろそろ出る支度でもするか!」