「いやわかった。わかったが、少し待て」

「もう!さっきからそればっかじゃん。どれだけ待たせれば気が済むわけ」

「あんバターまん、チンしてきてやるから」

「これでふかふかじゃなかったら許さないからね。万が一にもガチガチだったら、もう一秒だって待たないから」


よし、と岡嶋はすぐさま立ち上がり、空になった二人分の食器を手にキッチンへ向かう。
食器はシンクに置いて、まずは冷凍庫から中華まんを取り出す。

幸いにもこのレンジでふかふか中華まんシリーズは、電子レンジで簡単に蒸したてのようなふかふか中華まんを作れることで有名な商品だ。
せっかくなので岡嶋も食後のデザートに一つ食べることにして、島田の分と合わせて二つ皿に載せ、ラップをしてパッケージ裏の規定時間通りに温める。

チンっと軽快な音がしたところで蓋を開けて皿を取り出すと、ぴたっと中華まんに張り付いているラップを剥がす。熱いので、慎重に。
ラップを剥がすと湯気が上がって、先ほどまでの凍ってガチガチだった姿とは真逆の、ふっくらと柔らかそうな中華まんが現れる。

それを持って島田の元に戻ると、「熱いから気をつけろよ」と皿をテーブルに置く。
そこで島田はまたスマートフォンを取り出して、角度を変えて何枚か写真を撮影した。