しばしそのまま固まる横顔に、再度「島田」と呼びかける。
この反応はやはりそうなのか、全部島田の嘘だったのか。いや嘘というよりは、年上をからかって遊んでいただけなのだろう。

今回は度が過ぎているが、ここで正直に話せば、言葉通り長めのお説教で勘弁しようと思っていた。
三度目の呼びかけが必要か岡嶋が迷っていたところで、ようやく島田の視線が動く。その前にまずは中途半端に止まっていた箸を持つ手を下ろす。

見るともなしにテレビに向けられていた視線が、ゆっくりと岡嶋の方を向く。
あーあ、バレちゃった。と悪びれることなく笑う顔を想像していたのだが、こちらを向いた島田の顔は、予想外に真剣だった。


「わかった。じゃあ、ちゃんと言う」


下ろした手は箸からも離れて膝の上へ。体ごと岡嶋の方を向いた島田は、意を決したように言った。


「昨日の夜、雅功くんはいつも通りあたしにベッドを貸してくれたんだけど、そのあとで――」

「ちょおぉおおおおおっと待て!!!」

「もう、なによ」

「“なによ”じゃないだろ!!」