「ちょっ、しま――」

「雅功くんは、あたしが年下だからダメなの?それとも幼馴染みだから?赤ちゃんの頃から一緒にいるから、妹にみたいにしか思えないってこと?」


ほんの少し不機嫌そうな顔が、正面から岡嶋を捉える。そのままぐいっと顔を近づけてくるから、岡嶋はずりずりと後ずさった。


「ダメ、とか、そういうことじゃないだろ……」

「じゃあなに?そもそもあたしのことは嫌いってこと?」

「そんなこと言ってないだろ」


不機嫌そうな顔で近付いてくる島田から、岡嶋は必死で距離を取る。
立ち上がれたら逃げるのも楽なのだが、無理矢理立ち上がると島田を跳ね飛ばしてしまうのでそうもいかない。
間近で見る島田の不機嫌そうな顔に、どこか不安そうな色が混じっているのを見て取って、岡嶋は諦めたように息をついた。


「嫌いじゃないし、年下だからダメってことじゃない。確かに島田が赤ん坊の頃から一緒にいるから、妹みたいに思ったことがないわけじゃないが、それも結構昔の話だ。今は、妹見たいとかじゃなく、島田は島田だと思ってる」


不機嫌さの奥に不安を宿していた瞳は、岡嶋の言葉に花が開くように輝いた。
目の前でぱあっと喜びを表していく島田の顔に、岡嶋は訳がわからず首を傾げる。