「……出来てない。というか、出来れば自分で思い出したい。……島田の口から聞くのはちょっと、その……」

「恥ずかしいの?一緒にお風呂にも入る仲なのに?」

「誤解を招くような言い方するな。一緒に風呂に入ってたのは、島田が園児だった頃の話だろ。ちゃんと過去形で言え」


“まさにい、まさにい”と可愛かったあの頃の島田とは、一緒にお風呂にも入ったし、同じベッドで寝ることもあったし、手を繋いで近くの公園に遊びに行ったりもしていた。
公園につくなり男児に囲まれて、一緒にサッカーをしよう!と引っ張っていかれそうになる岡嶋を、島田が半泣きで引き留めていたのは懐かしい思い出だ。
そんな風に幼い頃から一緒にいて、近くで成長を見てきた身としては、島田の口から“事細かな説明”を聞くのは、恥ずかしいとかいうレベルを通り越している。


「まあそうだね、今にして思えば、あの頃のあたし達はまだまだ子供だったよね。それが今やすっかり大人になり、一緒のベッドで寝るということにも深い意味が生まれてしまい……」

「ちょっと待て。待て待て」


懐かしむようにしみじみと語り出す島田に、岡嶋はたまらず待ったをかける。