「言いにくいことはないけど、言ったところでなー雅功くんだからなーって感じ」

「……悪い、意味がわからん」

「ねえ、このチーズオムレツのふわとろ感がやばい」


首を傾げる岡嶋を無視するように、再びスマートフォンを取り出した島田は、チーズの伸びるオムレツを撮影する。


「そういえばさ、オムレツ見て思い出したんだけど、駅前からちょっと行ったところに飲み屋街あるでしょ。そこにオムライスの美味しいお店があるんだって」

「……オムライスの美味しい店?」


飲み屋街に?そんな店があっただろうか。


「店主が、まかないで作ったオムライスをネットに上げたら、それが有名になっちゃって、それ目当てに来店する人が増えちゃったんだって。だから急遽メニューにしたらしいの。ほらこれ」


スマートフォンの画面を向けられ、岡嶋はスープを飲みながらそれを見る。
ふわとろオムレツで思い出したというから似た系統のオムライスなのかと思ったら、意外にも昔ながらのしっかりめの玉子で包まれた、美しいフォルムの王道オムライスだった。