「こっちが島田の分、これが俺の分」

「何か違うの?」

「若さの違い」


クエスチョンマークを浮かべて首を傾げる島田に、いいから持っていけと皿を託すと、その間に岡嶋はスープを器に盛る。そして、二人分のフォークと共にテーブルへ。


「雅功くん、スープもうちょっとこっち寄せて。それで、お皿の上でピースして」

「絶対に嫌だ」


岡嶋がテーブルに来るなりスマートフォンを構える島田は、にべもない返事に「ケチー」と唇を尖らせてから、仕方なく自分でピースを作って写真を撮る。


「雅功くんの、本日のオシャレご飯っと」

「恥ずかしいタイトルをつけるな。……待て、誰に送ってるんだ?」


写真を撮り終わってすぐに、島田がぶつぶつ言いながらスマートフォンを操作しているので、岡嶋は気になって問いかける。
友達か、まさかのSNSか?どちらにしてもやめてほしいのだが、島田からの答えは


「お母さん。実は結構楽しみにしてるんだよ?雅功くん家に泊まった時のご飯。帰るといっつもウキウキしながら訊いてくるんだから。“今日は何食べたの?何作ってもらったの?写真は?”って」


なんだ島田母か……と岡嶋はひとまず胸をなでおろす。
それでも恥ずかしいことに変わりはないのだが、友達やSNSよりはマシだ。