立ち上がるとパンツ一枚なのが余計に際立つ気がするというか、高さ的に自然と視線がお尻に向かってしまうので、真帆は慌てて視線を逸らす。
逸らした先に丁度あった、何も映っていないテレビを意味もなくじっと見つめていると


「ところで田中さん」


田辺の呼ぶ声が聞こえた。


「はい?」


呼ばれると条件反射で振り返ってしまう、人間の悲しい性。その瞬間は、なぜ視線を逸らしていたかなんて頭からぶっ飛んでいるから、振り返ってから後悔する。


「……あの、田辺くん、早く何か着て欲しいっていうか、その……なに?」

「え、なに?俺の体もっと近くで見たい?」

「言ってないから!!」


笑顔で近寄ってこようとする田辺に両腕を突き出して、来るな!の意を示す。
それを見て可笑しそうに笑ってから、田辺は改めて「ところでさ、田中さん」とやり直す。


「昨日のこと、実際にはどこまで覚えてるの」

「……昨日の、こと……?」


きょとんと首を傾げる真帆に、「そう、昨日のこと。朝何時に起きたとか、昼に何食べたとかはいらないから。同窓会以降のことでよろしく」と田辺。


「同窓会以降…………」


正直、同窓会の途中から既に記憶が曖昧だ。ちゃんと覚えているのは、いかにもな居酒屋メニューが続く中で、突如としてローストビーフが現れた辺り。