「雅功くんだって明日休みでしょ。どうせ予定もないんでしょ」

「“どうせ”とか言うな。それにしたって、そろそろ寝たいんだよ」


間もなく時刻は丑三つ時、草木も眠る時間帯である。そんなわけで、人間も眠いのだ。


「じゃあベッド使って寝たらいいじゃん。あたし、別にソファーでだって寝れるし」

「風邪引かれたら困るんだよ。朝になって体痛いとか言われても嫌だしな」

「そんなの、雅功くんだってそうじゃん」

「とにかく、早く飲め。そして寝ろ」


そんな風に急かしてみても、いやむしろ急かすからこそなのか、島田はことさらちびちびココアを飲んでいるように見える。
仕方がないので岡嶋もソファーの端っこに腰を下ろし、つけっぱなしになっていたテレビを見るともなしに眺める。


「ねーねー、せっかくなら映画観ようよ」

「……お前な」


早く寝させろと言っているのに、これから映画を観ようとは、一体何を言っているのか。


「雅功くんもなんか飲めば?持ってきてあげようか」

「いい。俺はもう歯も磨いて寝る準備が万端なんだ」

「つまんないのー」