「雅功くんは、あたしが合コンしてたら気になる?」

「気になるというか、まあ……おかしな男に掴まらなければいいなとは思うが。……いや、もうこの話はやめよう。プライベートなこと訊いて悪かった」


話は終わりとばかりに、「これ飲んだら寝ろよ」とココアの入ったマグカップを島田に渡す。
この部屋には、島田のために用意されたものが多い。それこそ、比喩ではなく本当に、第二の家と呼んで差し支えないくらいに。

島田しか飲まないスティックの甘い飲み物、島田用のマグカップ、洗面所には歯ブラシとコップが二つずつ、メイク落としと洗顔フォーム、化粧水や乳液などもしまってある。
その他にも、あげだすときりがない程に、島田のものが多くある。

こんな状態では、田辺に“年下の彼女”などと言われても仕方ないのかもしれないが、岡嶋にとって島田は、誰が何と言おうと幼馴染みだ。
島田にとってもきっと、便利な幼馴染みくらいのものだろうと思っている。


「雅功くんはさ、合コンとか行ったことある?」

「まあ……若い時はな。つうか、この話は終わりってさっき言っただろ」

「若い時って、今だって別に若いじゃん」


二十代になったばかりの若者にそう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいが、世間一般的に言えば、この年代を“おじさん”と呼ぶ若者は決して少なくはない。