「それで結局、何が本当なんだ?」

「えっとですね、飲み過ぎたみたいで気持ち悪そうに道の端にうずくまってたんですよ。二次会組とは反対方向の道にいたんで、帰ろうとしてダウンしたんじゃないですかね。そこに、同じく二次会には行かずに帰ろうとした俺が遭遇したと。その時、明らかに下心ありまくりの男達が声かけようとしてたんで、元クラスメイトのよしみで助けました。そのあとのことは、岡嶋(おかじま)さんのご想像にお任せします」

「……上司に変な想像をさせるんじゃない」


呆れたようなため息交じりの台詞を、田辺は笑顔で受け流す。
世間話の延長で、土曜日に同窓会があるのだという話を元からしてあったので、社内にある自動販売機前でばったり出くわした上司の岡嶋は、開口一番「楽しかったか?」と問いかけてきた。
それに対して田辺は、同窓会のことよりもそのあとのこと、主に翌日の日曜日のことを話して、このように上司を呆れさせていた。


「まあ、起きたら隣で裸の男が寝てたら、そりゃあ何かあったと思うよな、普通は。本当のところは知らないが」

「言っときますけど、素っ裸じゃないですからね。パンツは履いてました。でもこの季節にパンイチはやばいですね。田中さんの体温がなかったら、俺目覚めなかったかもしれません」