「うん。大丈夫」

「そうか」

お父さんはほっとした顔をした。

「すまない。菜緒。家のことも、お母さんのことも、真緒のことも、お前に任せきりにして。大変じゃないか?」

真緒とは、私のお姉ちゃんの名前だ。

仕事が忙しいお父さんは、なかなか病院に行くことができないので、私が代わりにお姉ちゃんに会いにいくことが多い。

「全然大丈夫だよ。仕事大変なんでしょ?」

「菜緒がいてくれて助かったよ。ありがとう」

いてくれて助かった。この言葉が、私の唯一の救いの言葉だ。