「わかった」

おばあちゃんは2年前、脳梗塞で倒れて今は病院に入院している。

まだ高校に入学してから、お見舞いに行けていなかったので、きっとよろこんでくれるだろう。

「沙月。高校にはもう慣れたか?」

お兄ちゃんが学校のことを聞いてくるなんて珍しい。

「慣れたけど、珍しいね。お兄ちゃんがそんなこと聞いてくるなんて」

お兄ちゃんは目を泳がせながら言った。

「いや、少し気になることがあって。陸上部に中条春樹って言う奴がいるんだけど、知ってるか?」

中条先輩の名前が出たので、驚いた。