教室を見渡しても、知っている人はほとんどいなかった。

私は小さくため息をついて、黒板に書かれた席順表から自分の名前を見つけて座った。

私の席は一番後ろの窓側から二番目の席だ。

隣の席には、窓の外を見ている女の子が座っていた。

「あの…」

恐る恐るその子に向かって声をかけた。

女の子がゆっくり振り向いた。

黒髪のロングヘアに 大きな黒い瞳で色白な肌をしてる、すごく綺麗な子だった。

「私、秋本沙月。隣の席なんだ。よろしくね」

精一杯の声を振り絞った。

「宮沢菜緒。よろしく」

そう名乗った彼女は、再び窓の外に視線を戻した。

いきなり話しかけたから、びっくりさせちゃったかな…