「そうだったんですか」
 
思いもよらない話を聞いた。

「去年は中条と同じくらいの好成績を残したやつがいたんだけどな。
佐賀って言って、県の大会であいつと中条が同じコースで走ることになった。走っている時に二人はぶつかって、中条はアキレス腱を切る大怪我をした。それに責任を感じた佐賀は部活もやめて、だんだん学校にも来なくなった。佐賀が悪いなんて誰も思ってないし、もちろん中条だってそう思ってる。あいつは佐賀のライバルで親友でもあったからな」

そういえば、2年生で去年の夏頃からずっと不登校になっている先輩がいると噂で聞いた。

「消毒めっちゃしみたー。っておまえら深刻そうな顔してどうした?」

保健室から戻ってきた中条先輩がきょとんとした顔をした。