「ほんとだね。…あれ?」

薫の隣に、見覚えのある人を見つけた。

入学式の時に迷ったのを助けてくれた人だ。

「どうしたの?」

「ううん。なんでもない」

あの人、陸上部だったんだ。

あの時名前を聞き損なっていたので、薫に聞くことができる。

チャイムがなったので、私たちは教室へ戻った。


放課後になり、私は部室に向かった。

手芸部では編み物や小さな小物などを作ることが主な活動だ。

作品の発表ができる場といえば、文化祭の展示会くらいだ。