意を決して美術室のドアを開けた。

「あ」

その時、水野千紘と目が合ってしまった。

向こうも私に気づいて、こっちを見ている。

私は慌てて下を向いて歩いた。

不審な顔をされたが、そんなことは気にしていられない。

私たちが知り合いということを誰にも知られたくなかった。

「これで全員揃ったか?」

全員が揃ったのを確認してから、あの人は口を開いた。

「ではこれから、美術部のオリエンテーションを始める。まずは新入部員の自己紹介からだ。一年生は前に出ろ」