私は美術室のドアの前で入るかどうか悩んでいた。

だって、美術室あの人がいたから。

水野翔がいだからだ。

美術部に入ると決めた時から、顧問をやっていることは知っていた。

でもやっぱり関わりたくない。

「何してるの?」

オロオロしている間に他の人が来てしまった。

「ごめんなさ…」

目の前にいたのは、入学式の時に桜の写真を撮っていた男子生徒だった。

「入らないの?」

美術室の前でいつまでも立っていたら変な人だと思われてしまう。