次の瞬間、ピストルが鳴った。

全員が走り始めた。

中条は、最初は遅れていたが、徐々にペースを上げていった。

そして一位でゴールすることができた。

「春樹…」

隣で見ていた佐賀は、信じられないという顔をしていた。

「あんな怪我したのに…」

「中条は、毎日必死になって練習していた。お前に走れるところを見て欲しかったんだな」

佐賀は静かに涙を流していた。

「俺、飲み物買ってきます」