ついに退院の許可が降りた。

怪我もすっかり治って、体調もいい。

お父さんが迎えに来てくれて、一緒に帰った。

仕事は、出張のない部署に異動させてもらったようだ。

これからは、ずっと一緒に暮らすことができる。

家に帰る前に、お姉ちゃんのところにも顔を出した。

「真緒、なかなか来れなくてごめんな」

お父さんはお姉ちゃんの手を握り、言った。

その時、わずかにお姉ちゃんの指が動いた気がした。

「お父さん!お姉ちゃんが」

瞼が動き、ゆっくりを開けた。

「真緒!」