大会まであと一カ月をきった。

陸上部が終わった帰りに、中条先輩を見かけた。

「中条先輩、今帰りですか?」

中条先輩は俺に気づくと苦笑いをした。

「その前に寄るところがあるから」


やってきたのは佐賀先輩の家だった。

「今回で最後にしようと思うんだ。これでダメだったらもうしょうがないかなって。ちょっといってくるから、ここで待っててもらえる?」

「え?」

なんで俺が待ってなきゃいけないんだ?

疑問を持つ俺を残して、中条先輩は、佐賀先輩の家のインターフォンを押した。