「そっか、菜緒、お父さんと一緒に暮らすことになったんだ」

私は酒井くんから話を聞いて安心した。

久しぶりにバイトに来た酒井くんと一緒に食器を片付けていた。

酒井くんは、しばらくバイトも学校も休んでいたが、今日からやっと復帰した。

薫と私と酒井くんの三人で菜緒のお見舞いに行って以来、一度も会ってなかったので、この話を聞いたのは今日が初めてだ。

菜緒の噂も聞かなくなり、ようやく学校に平和な空気が戻ってきた。

そしていよいよ、二週間後には薫の陸上大会が控えている。

「酒井くんが戻って来てくれてよかった。もう体調は平気なの?」