俺は背筋がサーっと冷たくなるのを感じた。

「私のお姉ちゃんをひいたのは、酒井くんのお父さんなの?」

宮沢に嫌われたくはないが、答えないわけにもいかない。

「うん。そうだよ」

信じられないくらい、鼓動が早くなるのを感じた。

宮沢がなんと返して来るのか聞くのが怖かった。

「…やっぱりそうだったんだ」

返ってきたのは予想外の答えだった。

「怒らないの?」

冷静な宮沢の態度に拍子抜けしてしまった。

「だって、水野先生から聞いたもん。あの時の事故のこと」