「ごめんね。心配かけて」

ベッドの上で申し訳なさそうに言った。

「元気そうでよかった。これ、お見舞いに持ってきたの。もらってくれる?」

秋本が渡したのは猫の小さなぬいぐるみだった。

「ありがとう。すごくかわいい」

嬉しそうにそれを受け取った。

「あとどれくらいで退院できそうなんだ?」

「病院とか、警察の人と話さなきゃいけないこともあるから、怪我はよくなっても、退院できるのは夏休みに入ってからかも」

「じゃあ、陸上の大会までは退院できそう?

「うん。間に合うと思うよ。星野くん遅くなったけど大会出場、おめでとう」