やっぱり、そのことか。

確か今日はバイトの日だったはずだ。

「ほら、菜緒怪我したって学校で話題になってたでしょ?入院してる病院聞こうと思ったけど、月島先生も水野先生も休みだったから、聞けなくて。酒井くんもバイトに来てなかったから」

案の定、沙月のクラスでもその話題は上がっていた。

でも病院なら、心当たりがあった。

「その病院なら、俺の母さんが働いてる病院かも」

確かではないが、このあたりで大きい病院は、そこぐらいしかなかった。

「ありがとう薫」

沙月はお礼を言って、立ちあがろうとした。

「待って、沙月」

俺は帰ろうとする沙月を呼び止めた。