「菜緒、ここの問題は、どうやって解くの?」

「それはこの公式を使えば解けるよ」

人に勉強を教えるのは、初めてだったので不安だったが、沙月は理解するのが早く、少し教えるとすぐに解けるようになっていた。

ここの店員である志穂さんが、飲み物を持って来てくれた。

「懐かしいな。私も高校の時は友達と一緒に勉強してたんだよ」

「すみません。こんな大勢で」

星野くんが申し訳なさそうに言った。

「いいのいいの。私だって勉強に使ってたんだから。オーナーも許してくれてるし。ねぇ片瀬さん」

カップを拭いていた男性に声をかけた。