その日は、朝早くから出かけた。

新聞配達のバイトを始めたのだ。

配達する家の地図を確認して、新聞を郵便受けに投函していく。

次の家の表札は知っている苗字だった。

『宮沢』

ここ、あいつの家か?

そんなことを考えている暇はない。

早くしないと間に合わなくなってしまう。

俺はまた、自転車をこいだ。


 俺はいつもより早く学校に着いた。

教室で頬杖をついてぼーっとしていると、「壮馬!」と声をかけられた。