「本人が決めたことに口出しはできないからな」

「中条は今でも、佐賀の家に行っているそうですけどね」

陸上部の中条春樹は、佐賀新の親友で、陸上の記録を競っていたようだ。

しかし、去年の大会で佐賀が中条に怪我を負わせてしまった。

それが原因で佐賀と中条のクラスでいじめが起こった。

それに耐えられなくなった佐賀は、不登校になってしまった。

当時の担任をしていたのが、月島だった。

佐賀の家に何度も行き、学校に来るように説得したが、佐賀は、一度も学校に来ることはなく、一年が経過しようとしていた。

「中条は、夏の大会をどうしても見に来て欲しいようです。リハビリで、怪我をだいぶ回復して、以前と変わらないほどに走れるようになったのを見てほしいと」