朝、菜緒を見かけたら、顔にガーゼが貼ってあったので、気になっていたのだ。

「また、母親からの暴力だと思う」

「そうですか…」

伊藤は腕を組んで考え込んだ。

「とりあえず、今のところは様子を見ましょう。下手に行動するのは逆効果ですから」

保健室のドアが開いて、月島が入ってきた。

「佐賀新から正式に退学の連絡が来ました。今日佐賀の家に行って手続きをしてもらってきます」

おそらく話しているのは、去年まで受け持っていた生徒のことについてだろう。

「…そう、残念だけど、よろしくお願いします」