秋本から話を聞いたあと、俺は保健室にいる伊藤のところに向かった。

「ちょっといいか?」

パソコンを開いて、コーヒーを飲んでいた。

「水野先生、何かご用ですか?」

メガネを外して、椅子から立ち上がった。

「宮沢のことで相談がある」

「また何かあったんですか?」

伊藤の表情が、心配そうな顔になった。

伊藤は、俺の高校の時の後輩で、月島と同い年だ。

真緒とも、たまに一緒に帰る時があって、菜緒のことも家庭の事情もしっている。

「宮沢と仲のいい生徒に聞いたら、顔にガーゼが貼ってあって、本人はぶつけたと言っているらしい」