「…菜緒、いままでどこに行ってたの?」

お母さんが、怒った顔をして立っていた。

「ごめんなさい。ちょっと、出かけてて」

お母さんが眉間に皺を寄せた。

「最近よく出かけているみたいだけど、勉強はちゃんとしているの?」

威圧的な声に、私は肩を震わせた。

「ちゃんとしてるよ。大丈夫だから」

そして、お母さんは大きなため息をついた。

「真緒があんなことになったんだから、あなたにはもっとしっかりしてもらわないと困るのよ。分かってるでしょう?」

この人は、お姉ちゃんのことを本当に心配しているのだろうか。

思えば今まで一度もお見舞いに行ったところを見たことがない。

まるで、自分の価値観を押し付けるように、私たち姉妹に接してきていた。