「あ」

ボールをとりにきたのは、酒井くんだった。

「宮沢?」

あまりに突然のことに、二人で固まっていると、小さい女の子がこちらに走ってきた。

「お兄ちゃんー!早くボール!」

この子が前に話していた妹だろうか?

私に気づいたその子は、怯えているのか、酒井くんの後ろに隠れてしまった。

「ごめん。人見知りが激しくて。よかったら、結衣と遊んでくれないかな?」

「でも…」

私が目を向けると、さらに隠れてしまった。