全身から血の気が引くのを感じた。

え……?

何、言ってるの?

「おばあちゃん、私だよ?忘れちゃったの?」

私はそう言ったが、おばあちゃんは、不思議そうに首をかしげてニコニコしているだけだった。

「沙月」

私はお母さんに呼ばれて、病室を出た。

「実はおばあちゃん、認知症の症状が出てるの」

「認知症?」

「身体の健康状態は問題ないんだけど、おばあちゃんの場合は、進行が早く進む可能性があるから、病院でしばらく経過観察した後に、大丈夫そうだったら、そのまま老人ホームに預けた方がいいかもしれないって先生が言ってたの」