俺は思わず苦笑いして言った。

「高校の入学式くらいでそんなに緊張してどうするんだよ」

俺がそういうと沙月は俯いてしまった。

気に障ったか?

気まずくなってしまい、俺は腕時計に目をやった。

あと10分で電車が来る時間になってしまう。

「早くしないと間に合わなくなるぞ」

「あ、ほんとだ」

沙月も腕時計を見て、声を上げた。

「間に合った…」

なんとか時間ギリギリに電車に乗ることができた。