なし崩し的に始まった、三人の先輩たちによるコーディネート合戦。まずは言い出しっぺの祥太先輩から始まった。

「これ……ちょっとブリブリしすぎてません?」

 あたしが着せられたのは、肩の開いたデザインのピンクのトップス。胸と袖にリボンがついている。下は黒いミニのプリーツスカート。露出も多いし、何とも落ち着かない。

「優衣ちゃんは量産型合わないかぁ……。髪型もショートだしね」

 どうやらあたしが着ているのは、そういうジャンルの服らしい。祥太先輩はぐぬぬ、と息を漏らした。

「どっちかと言うと地雷系じゃないか?」

 瑠可先輩がそう言うので、今度はベルトや十字架のついた黒いワンピースを着てみたのだが、これまた合わない。

「あたし、これも違う気がします」
「そうか? 俺は好きだけど」
「それは単に瑠可の趣味だと思いますが……。優衣さんはもっと清楚な方がいいですよ」

 快人先輩に手渡されたのは、薄いグリーンのシャツワンピース。シルエットはふんわりとしていて、これも何かあたしっぽくない。

「うーん、意外と難しいですね」
「快人もダメかぁ。優衣ちゃんっぽいのって一体どんなんだろうね? とりあえずあっちの店にも行く?」

 祥太先輩に誘導されたのは、シンプルな服ばかりを扱う量販店だった。ここの服ならあたしも何着か持っている。

「自分で選んでもいいですか?」

 三人とも失敗したのだ、もうマネキン本人が選ぶしかない。あたしは黒いショートパンツと真っ白なTシャツを着て試着室から出た。

「あー、これが一番ぴったりかも」

 瑠可先輩が、頬をポリポリかきながら言った。

「活動的ですし、優衣さんのイメージに最も近いですね」
「おれたち、全員負けってこと!?」
「そうなりますね」

 あたしが胸をはると、祥太先輩はしょぼくれた表情をした。そうなのだ。結局あたしは、こういうスポーティーな服装に落ち着くのだ。

「折角なんで、買ってきますね」

 ここの店は安いので、お小遣いで十分まかなえる範囲だ。悔しがる先輩たちを気にしないようにして、あたしはレジに向かった。時間を見ると、もうすっかりお昼どきだ。

「お腹すきましたねぇ。ファミレスでも行きますか?」

 快人先輩の言葉に全員が乗り、今度はお昼ごはんにすることになった。