蓮夜「……わかったよ」

美夏「えー!じゃあ僕も入れてよ!」

美玲「……私も」

澪「うん!いいよ〜」
(七村さん、珍しいなぁ〜)

澪「机狭いし私のくっつけるね〜」


自分の机を移動している隙に、蓮夜の隣の席を美玲に奪われてしまった。


蘭(……これはやばそうだな)

澪(み、みんな美形すぎて私いずらいなぁ……)


みんなでいただきますと手を合わせる。

蓮夜以外がお弁当を食べ始める中、不機嫌そうに澪を見つめてくる。

それはおそらく、澪が美夏と蘭に挟まれていたからだ。


澪「わっ、美夏くんのお弁当豪華だね」

美夏「あはは、こんな量食べられないからやめてほしいんだけどね〜」

澪「蘭くんはそれ……売店のパン?」

蘭「は、はい……」
 (やばい、自炊しないと思われる……!)

澪「育ち盛りなんだからちゃんと食べないと!私の卵焼きあげるね」

蘭「えっ!!い、いいんすか!?」

澪「もちろんだよ」


はいっと爪楊枝にさしてある卵焼きをあげた澪。

ますます不機嫌になっていく蓮夜に美玲が話しかける。


美玲「……あ、綾野くん」

蓮夜「……」
 (澪……)

澪「……?蓮くん見過ぎだよ、もしかして私の分まで欲しくなっちゃった?」

蓮夜「ああ、食べさせてくれ」

澪「しょうがないなぁ」


蓮夜の箸を取り、自分の弁当のハンバーグを少し切って彼の口に運んだ澪。


蓮夜「ん、うまい」

澪「よかった!」

蓮夜(幸せな味がする……今まで食ったもんで、澪の料理が一番うまいかも)

美玲「……」

澪(ああ……わかった。七村さん、蓮くんが好きなのか)


人の感情が手に取るようにわかる澪はすぐにわかってしまった。

だけど……


澪(私……多分蓮くんのこと、家族として好きにはもうなれないから)


好きな人を譲れるぐらい、優しい人ではない。


美玲「綾野くん、私のタコさんウインナー食べない?」

蓮夜「……いらない」

美玲「そっか」

美夏「澪ちゃん僕のおかずちょっと食べる?」

澪「えっ、いいの?」

美夏「もちろんだよ」

蓮夜「……」


席を立った蓮夜。澪のそばに近づき、ひょいっと身体を持ち上げる。

自分が澪の席に座り、膝に乗せた。


首筋に顔を埋めながら、ぎゅっと強く抱きしめていた。


澪「れ、れれれっ……蓮くん!?」

蓮夜「俺寝るから」

蘭「おい蓮夜、やめろよ男3人が並んだら狭いだろ!!」

美夏「その前に澪ちゃん独占するのやめてもらいたいんだけど」