彼女は放心状態になった。それから、はっとして顔を赤らめて『なります』と返事をしてくれた。

 泣きそうになったけれど、涙をこらえた。

 実際出会ってからはかなり経つものの、こうやって一緒に話をした時間は、まだほんのわずかだ。

 だけど、イメージは沸いた。
 建てる家は、外観も内観も彼女に選んでもらって、彼女の好みな家がいい。
 家を建てたら、桜の花が咲く時期は毎日庭でお花見をして、毎日笑って桃音ちゃんと過ごして……。明るい未来の想像が、桜の花びらと共に、一気にシャワーのように降ってきた。

 この桜がここにある理由は、僕と桃音ちゃんだけが知っている。

 そしてこの桜の木は、僕と彼女が初めて一緒に過ごした日も知っていて、これからの僕たちも知ることになるだろう。そんな桜の木を僕は、桃音ちゃんとずっと一緒に眺めていたい。

 永遠に――。

 彼女と目を合わせた。
 一緒に、はにかんで笑った。

 
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