同じベッドで寝るなんて恥ずかしいし気が引けるけど――今は、特殊な環境のせいで頭が麻痺しているから仕方ない。

 シャワー前と違ってからかう声も聞こえないし、特に躊躇うこともなく、部屋の電気を消して咲真の隣に身を潜らせた。

 彼の体温で適度に熱を帯びているベッドは、元の質も相まってどんな寝床よりも気持ちがいい。

 久々にすぐに眠れそうだ――と思ったけれど。


「ありす」


 眠っていたはずの咲真の声が聞こえたと思ったら、次の瞬間には彼は私に覆い被さっていた。


「さ、咲真? 起き――」


 起きてたの? ――言おうと思った言葉が私の口から出ることはなかった。

 私の唇は、咲真によって塞がれていた。

 もしかして、もしかしなくても、これが私のファーストキス。


「……ごめん」


 数秒経って、唇が解放されて、思わず息を止めていた私は数秒分の空気を吸い込んだ。

 ……びっくりした。

 でも、嫌ではなかった。


「な、なんで」

「ごめん、どうしてもしたかった」


 私が訊きたいのは行為に対する理由ではない。

 でも、うまく口が回らない。