「――なんて、二人とも気づいてたよね?」


 微笑む千結に、私たちは肯定する。


「私、人見知りしちゃうから……みんなとあんまり話せなくて。 高校に入って一番最初に笑いかけてくれたの、白羽部長だった」

「そうだったんだね……」


 どこか遠くを見つめながら、でも決して後ろなど向いていない千結の言葉に、耳を傾ける。


「もちろんみんなにも……特に、祐奈には、優しくしてもらってうれしいし、みんな大好きだよ。でも、白羽部長のことは――」

「本当に、すごく、すごーく、大好きだったんだよね。恋、してたよね、千結」


 心が言うと、千結は耳まで赤く染めて、「うん」と小さく零した。


「千結が白羽部長のこと好きなの、すごく伝わってきたよ。ね、ありす」

「うん、白羽部長と話してるときの千結、いつも可愛かった」


 自分が言われたら恥ずかしくなる言葉を並べてしまったけど、本当のことだ。


「……そっか……そうかな」

「うん、本当に」


 心は少しだけ俯いた。


「……私、結局白羽部長にちゃんと想いを伝えられなかった。祐奈にも、いつも助けてもらってばっかりで……なのに、大事なときに信じてあげられなかった」


 ……こんなとき、うまく慰めの言葉が出たらいいのに。

 何を話せば千結の顔から翳りが消えるかわからない。