でも、彼女にはもう声をかけてあげることもできない。

 心なりの優しさを、今はただ受け止めた。

 そうして、三人で、泣いた。

 白羽部長、桃矢君、祐奈。

 三人も失ってしまった悲しみを、後悔を、すべて涙で流したいと思った。

 このままずっと溜め込んでいたら、それに足をとらわれて先に進めなくなりそうな気がするから。

 散々、気の済むまで泣いて、やっと話せるくらいには落ち着いた。


「……二人とも、目、真っ赤」

「ありすもだよ、ひどい顔」


 そんなふうに、少しだけ笑い合う。

 ……前を向かなければ。

 進もうとした、みんなのために。

 しっかりと、懺悔するために。

 ぽつりぽつりと始まる、いつぶりかもわからない、他愛のない会話。

 こんな状況になって初めて、今までの何ということのない日常を、尊いものだと知った。


「……私ね、白羽部長のこと、好きだったんだ」


 千結がふいに寂しげな声を漏らしたので、思わず心と顔を見合わせる。