ハートの女王という役目を誰かが負っているとして、自らそれをバラすわけがない。

 咲真は最初からそれがわかっていたのだろう。


「――あのさ、僕、考えたんだけど」


 私が肩を落としていると、そう言ったのは、恭君だった。

 みんなが一様に彼に注目して、次の言葉を待つ。


「ここにいるみんなの中で、共通点を探したんだ」


 共通点……そう言われて思い浮かぶのは、同じ部活の一員で、みんなそれぞれ何かしらの闇を抱えているということくらいだ。

 けれどそんなことはわざわざ言わなくてもとっくにわかっていることだ。

 何か別の、私たちに共通する何かを見つけたのだろう。


「僕たちみんな……同じ中学校だったよね?」


 恭君の言葉にみんなはハッとして顔を見合わせた。

 ……今まで、気づかなかった。

 私の通っていた中学校は生徒の数が多かったから、同級生でも名前を知らないような人もいる。

 アリス部のみんなも、部活で一緒になる前はほとんど知らなかった。

 言われてみれば、中学生時代にみんなのことを見た気がする。


「――待って、一人だけ違う」