「俺は全員平等に疑ってる。ま、桃矢のときを思うと、ありすや咲真が怪しいのは確かだな」

「わ、私は、誰も疑いたくないけど……けど……」


 波多君と千結が順に言った。

 もう、疑い合うことは止められないのだろうか。

 ここに来ていない水無君や心も、みんなを疑って部屋に閉じこもっているのかもしれない。

 そんなの、悲しい。

 どうにかして、みんなで疑うのをやめて力を合わせたい。


「――そうだ、みんなは、何の役割なの? 私はアリスだったよ!」


 気づけば、そう口に出してしまっていた。

 咲真に小突かれて、我に返る。

 ……私がアリスで咲真がチェシャ猫、それは二人だけの秘密だと言われていたのだった。


「……あのなぁ」


 波多君がため息をつく。

 千結や祐奈は、顔を逸らして俯いている。


「そんなの証明しようがないんだから、言っても意味ないだろ? それに自分の役割バラして、後々不利になるかもしれないとか思わないのか?」


 ……波多君の言う通りだった。