何が起こっているのか、何故巻き込まれているのか……何もわからないのはみんな同じなのだろう。

 ……本当にみんな、同じなのだろうか――思いを巡らせて、ふと、咲真と私の違いに気づく。


「私……記憶がない」


 咲真は、「文化祭の準備をしているときに何かで意識を失ってここに連れて来られた」と言っていた。

 しかし私は……それを思い出せない。

 自分がここに来る前に何をしていたのかわからなかった。


「え……記憶が?」

「咲真は覚えてるんだよね? ここに来る前、文化祭の準備してたんでしょ?」

「うん……ありすも一緒にいたよ。なぁ?」


 咲真は水無君と心に同意を求めた。


「そうだよ! 今日は久しぶりに部員みんなが揃ってたじゃん! 何も覚えてないの?」


 心にそう言われて考えてみても、確かにそんな予定があった気がするだけではっきりとは思い出せなかった。


「僕たちみんなが同時に気を失うなんて、きっと何か――例えば薬とかをを使われたりして……もしかしたらそれの副作用かな? 他は何ともない?」