昨日は、あれからすぐに部屋に戻ってしまった。

 みんなもそうだ。

 立て続けにあんなことが起こっては、脳も体もついていけない。

 どうしてか、すごく疲れているのに、全然眠れなかった。

 考え過ぎなのか、不安のせいなのか。

 自分がすごく消耗しているのを感じる。

 ……体が重い。

 なんとかベッドから起き上がったとき、コンコン、とノックの音が響いた。

 昨日のように咲真が起こしに来てくれたのかもしれない。


「はーい……」

「ありす、大丈夫?」


 ドアの向こうから聞こえた声は、祐奈のものだった。

 ドアを開けて話を聞くと、みんなの様子を聞いて回っているらしい。

 自分も疲れているはずなのに、責任感の強い祐奈らしいなと思う。


「祐奈も、ちゃんと休んだほうがいいよ?」


 いくら責任感があっても、みんなの心配ばかりしていては自分が辛いだろう。

 祐奈にも、しっかり休息をとってほしかった。


「うん、ありがと。千結が心配だからもう一度会って、そしたらまた休むね」


 祐奈はそう言うと、千結の部屋に行ってしまった。

 彼女を見ていると、しっかりしなくてはという気持ちが湧いてくる。

 でも、こんなに重い体ではその気持ちにもついていけない。

 私はまた少しだけ、寝直すことにしたのだった。

 次に目が覚めたのは、乱暴なノックの音のせいだった。