このままでは、連れていかれてしまう――そう、思ったけれど。

 次の瞬間には、私の体は床に転がされていた。


「お、おい、やめろよ! なんで俺がっ、嘘だろ!?」


 痛みをこらえて起き上がると、桃矢君は仮面の数人に取り押さえられていた。


「桃矢君っ……」

「桃矢っ!」


 みんなは仮面の人物に向かっていくが、簡単に振りほどかれてしまう。

 それは、喧嘩が強いと噂の波多君まで。

 体格が違い過ぎる……それに、相手は銃を持っている。

 とうとう、桃矢君が食堂から引きずり出されてしまった。

 仮面の何人かが、こちらに銃を構えた。

 そうされると、追うに追えなくなってしまう。

 みんなが立ち尽くしていると、仮面たちはこちらを向いたまま後退していき、食堂のドアは閉じられてしまった。


「嘘だろ……?」

「ねえ、追わないと……」

「でもあんなの、追ったところで!」


 ……みんな、呆然としている。

 まさか本当にこんなことが起こるなんて。

 どうすればいいだろう――何とか考えようと、思考を巡らせたとき。


『準備が整いました。庭園にお集まりください』


 そんな放送が響いた。